日本における最高神であり、光の神でもある天照大御神(あまてらすおおみかみ)は太陽神とも呼ばれています。
男尊女卑という歴史が長く続いた国なのに、日本の最高神は女神様なんですよ!
天照大御神のご神体は伊勢神宮の宮中正殿に祀られていますが、この記事では古事記をもとにどのような神様なのかを出来るだけ簡単に、わかりやすく解説していきたいと思います。
天照大御神はどうやって生まれたのか
そもそも、天照大御神はどうやって誕生したのでしょうか。
最高神と聞くと、まるで天照大御神が日本という国を作ったかのようにも思えますが、そうではないんですよね。
まず、日本という国を作ったのはイザナミとイザナギという男女の神様です。
イザナギはとある理由から黄泉の国、つまり死者の世界へ行き大冒険を繰り広げることになるのですが、そこから現世に帰ってきた際に黄泉の国でまとった穢れを落とすために川で体を清める禊(みそぎ)を行いました。
体を清めた際に、数多くの神様が生まれましたのですが、禊の最後に生まれた3人の神様は他の神様とは別格で、「三貴子(みはしらのうずのみこ)」と呼ばれます。
または三柱とも呼ばれたりもするので、鬼滅の刃の十二柱みたいなイメージをしてもらえるとわかりやすいかもしれません。
この三柱である神様の中の1人、光柱が日本の最高神である天照大御神です。
イザナギから生まれた天照大御神
川で禊を行ったイザナギが鼻を洗ったときに誕生したのが「須佐之男命(すさのおのみこと)」。
右の目を洗ったときに誕生したのが「月読命(つくよみのみこと)」。
そして左目を洗ったときに誕生したのが「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」です。
以下、天照大御神は「アマテラス」、月読命は「ツクヨミ」、須佐之男命は「スサノオ」と表記します。
イザナギは自分の代わりに、3人の神様によってこの世界を治めるさせることにしました。
アマテラスは神々が暮らす「高天原(たかまがはら)」を、ツクヨミは死者の国である「夜之食国(よるのおすくに)」を、スサノオは「海原」とそれぞれの役割を与えられたのです。
高天原というのは、神々が暮らす天界のようなものをイメージしてください。
アマテラスは高天原(天界)の統治者としての役割を与えられています。
これこそが、アマテラスが神々の中でトップの最高神とされている理由です。
天照大御神の天岩戸隠れ事件
最高神と言われるくらいなので、とても立派な神様のように思えますが、アマテラスは他の神々を巻き込んだ大事件をやらかしてます。
それが有名な天岩戸(あまのいわと)隠れ事件です。
どんな事件なのかイメージが湧かないと思いますので、こう命名しましょう。
『アマテラスの洞窟引きこもり事件!』
これでどんな事件だったか、一発でわかると思います。
引きこもっただけで、そんな大事になるの?と思うかもしれませんが、これは大事件です。
アマテラスは太陽神とも呼ばれる、光の神でこの世界を照らしていました。
しかし、アマテラスが引きこもったことで世界は闇に包まれ、光の射さない暗闇の世界へと変わってしまいます。
天照大御神が引きこもった理由
一体、どうして天照大御神は天岩戸(あまのといわ)に引きこもってしまったのでしょうか。
ちなみに天岩戸というのは、洞窟です。
天照大御神が引きこもってしまった理由は、三柱の1人であるスサノオとの姉弟喧嘩が原因。
海原の統治を任されていたスサノオですが、母であるイザナミ(亡くなっている)に会いたいと泣いてばかりで、海は荒れまくりでとんでもない状態になっていました。
それを見て激怒したイザナギは、スサノオを海原から追放させてしまいます。
追放されて行き場を失ったスサノオですが、母がいる黄泉の国に行くための相談をしようと、アマテラスに相談しに行こうと考えました。
スサノオが天界に向かってくると知ったアマテラスは、スサノオが天界を襲おうとしているのではと考えてしまいます。
危険を感じたアマテラスは全力で武装して迎え撃とうと、万全の戦闘態勢で待っていました。
これ、アマテラスの勘違いなんですけどね!
スサノオに敵意は無いので、「はぁ?」って感じでしょうが、いくら弁明してもアマテラスに信じて貰えません。
そこでスサノオは、ウケイ(神意占いとも言われ、神の意見を伺う占いのようなもの)によって潔白を証明したのです。
身の潔白を証明されたスサノオは、天界で好き放題に暴れまわります。
勝手に敵と勘違いされてイライラしていたのかもしれませんね。
勘違いで疑ってしまった負い目からか、アマテラスはそんなスサノオを見ても静観するだけでした。
そんな状態なので、どんどん調子にのったスサノオは、アマテラスはの神衣を織っていた女性を驚かせて殺してしまいました。
さすがのアマテラスもブチギレたのか、天岩戸(洞窟)に入り、そのまま引きこもってしまったのです。
神々が考えた作戦で天照大御神を引きずり出す!
太陽神が引きこもってしまったので、この世界は闇に包まれてしまいました。
そこで、八百万の神々はどうやってアマテラスを外に出すか作戦を考えます。
神々の作戦会議の結果、どんちゃん騒ぎの祭りをしてアマテラスの気を引こうと考えたのです。
アメノウズメが洞窟の前で踊り、それを見た神々が踊りを盛り上げ騒いでいると、アマテラスが少しだけ顔を覗かせて「世界は闇に包まれているのに、どうしてみんな楽しそうなの?」と聞いてきました。
そう聞かれたアメノウズメは「あなた様よりも、ずっと偉い神さまが来てくれたのでみんな喜んで踊っているのです」と答えて、鏡でアマテラスを映しました。
鏡に映った姿が自分とは気付かず、他にも光の神がいると勘違いしたアマテラスはその神様を見ようとついに洞窟から出てきたのです。
こうして神々の作戦通り、アマテラスの引きこもり事件は解決して世界に光が戻りました。
そしてこの時に、アマテラスを映した鏡が三種の神器の1つである八咫鏡(やたのかがみ)です。
≫≫伊勢神宮に祀られている神器『八咫鏡』は天皇でも見ることが出来ない!そこに隠された理由とは?
天照大御神は実在の人物だったのか?
日本の初代天皇が神武天皇というのは、日本人なら多くの人が知っていると思います。
そこから現代まで126代続く天皇制が敷かれてきました。
つまり、現在の天皇陛下の祖先を辿ると神武天皇にたどり着くということです。
これには諸説ありますが、ここでは一旦省きます。
では神武天皇の祖先は一体誰なんでしょうか。
遡って調べていくと、なんとアマテラスに行きつくのです。
つまり、神の血筋が現代まで残っているということになります。
まさに現代まで続くファンタジーみたいな話だと思いませんか?
とはいえ、本当に神様と信じ切ってしまうのもアレなので、もうちょっと現実的に考えて見ましょう。
アマテラスの引きこもり事件で世界は闇に包まれた。
という話が古事記にありますが、これは皆既月食ではなかったのか?という説があります。
そしてその時代に生きていたと思われ、女性の権力者として有名な人物。
そう、邪馬台国の卑弥呼です。
アマテラスの活躍していた時期と魏志倭人伝で活躍していた女王・卑弥呼を同一視する考えは1920年頃から言及されています。
占いにも長けていた卑弥呼と天照大御神を同一視する説は実際に多くの学者からも支持を得ていて、この時代に起きた皆既月食と卑弥呼が生きていた時代を照合しようとする研究もあるくらい有力な説になっています。
その研究によると、卑弥呼が亡くなる前後に、北九州で皆既月食が2年続けて起きているのが発覚しているのです。
これが天岩戸隠れ伝説の元ネタとも考えられるのではないでしょうか。
もしかしたら、天皇の祖先は卑弥呼であり、伊勢神宮に祀られている八咫鏡が卑弥呼の銅鏡だったなんて研究結果がでてくるかもしれません。
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