今回は、悪霊を支配する蠅の王「ベルゼブブ」について紹介していきます。
名称 | ベルゼブブ |
別名 | ベルゼブル/ベルゼバブ |
種族 | 悪魔 |
役割 | 七つの大罪『暴食』 |
主な出典 | 列王記 マタイによる福音書 |
蠅の王ベルゼブブ
蠅の王の異名で広く知られているベルゼブブですが、元々は「気高き王」という意味で『バアル・ゼブブ』という名前でした。
しかし、ユダヤ教徒がスペルを文字って「蠅の王」という意味のベルゼブブという名称で呼ぶようになったことで定着してしまう。
つまり、ユダヤ教徒の思惑によって「気高き王」から「蠅の王」にされてしまったのです。
それ以来、巨大な蠅のような姿で描かれることが多く、七つの大罪の1つである「暴食」を司っている。
また、その力は魔王サタンと同等もしくはそれ以上の力を持つとされ、魔界の悪霊たちの支配者でもある。
宗教によって蠅の王にされたベルゼブブ
本来のバアル・ゼブルという名は「気高き王」や「神の居場所の王」という神聖な意味を持っていました。
それがなぜ、「蠅の王」へと変わってしまったのか。
そこには宗教が大きく関わっています。
バアル・ゼブルは、元々イスラエルで神様として信仰されていました。
しかし、イスラエルの地に後からやってきたヘブライ人はバアル・ゼブルを神として認めず、スペルを文字ってバアル・ゼブルから蠅の王ベルゼブブと言い換えて悪魔へと変えてしまったのです。
ベルゼブブが取り憑いた事件
過去には、ベルゼブブが人間に取り憑いた事件もいくつか存在している。
有名な事件が、1900年代のアメリカ。
アンナ・エクランドという女性に憑りついた事件です。
叔母と父親が行った黒魔術によって、ベルゼブブに憑りつかれてしまったアンナを、エクソシストの資格を持つ神父が悪魔祓いを行いました。
しかし、悪魔祓いは難航し、儀式は28日間にも及んだと言います。
何とか悪魔祓いを終えたものの、儀式が行われていた部屋には酷い臭気が漂っていたと言われている。
魔王サタンの地位を超えたベルゼブブ
ベルゼブブが登場する文献は多数ありますが、いずれも魔王サタンに匹敵する力を持っていると表現されています。
その中でも、新約聖書の外典「ニコデモによる福音書」では、サタンよりも上の地位に就いている。
イエス・キリストが十字架に磔にされた後、魔王サタンはキリストを地獄に連れていくことを計画します。
今までサタンはキリストに邪魔ばかりされていたので、仕返しをしようと考えたのです。
しかし、それに反対したのがベルゼブブ。
もしもキリストを地獄に連れてきてしまったら、キリストの力によって逆に地獄の軍団がボロボロにやられてしまうと考えたのです。
サタンはその意見を跳ね除け、キリストを地獄へ連れてくるも、ベルゼブブの予想通りサタンの力を上回るキリストは次々と地獄に閉じ込められていた聖人を開放し天界へと帰ってしまう。
ベルゼブブの忠告通りの結果となったことで、サタンは魔王の地位をベルゼブブに譲り、忠誠を誓ったのです。
蠅の王ベルゼブブまとめ
七つの大罪「暴食」を司り、魔王サタンに匹敵する力をもつベルゼブブ。
しかし、本来は神として崇められる存在でした。
ここまで強力な力を持っているのは、神だったはずの存在を悪魔へと陥れた人間に対する復讐心から来ているのかもしれない。
また、どれだけ食べたり飲んだりしても満たされない「暴食」には、断食と祈りで救済を求め対抗する。
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