ディオニュソスの秘教で行われていた儀式は古代ローマの中で発展した宗教の中でも謎に包まれています。
ポンペイの火山灰で埋まった町から発掘された秘儀荘には儀式の過程をなぞらえた壁画があり、そこからどのような儀式を行っていたのかを知る事が出来る。

ディオニュソスの秘儀荘
ディオニュソスを崇拝することは、秩序を乱すとしてローマ政府は禁止していたが、ローマから離れた南イタリアを中心に信者を集めていった古代の謎多き宗教です。
ディオニュソスとは?
古代のギリシャ神話の神の1人で、ワインと豊穣、そして陶酔を司る神がディオニュソスです。
帝政ローマ時代には、ディオニュソスはバッカスと呼ばれ崇められ、ディオニュソスとバッカスは呼び名が違うだけで同一人物だという事がわかる。
ディオニュソスは産まれる前から、母親のセメレーをゼウスに焼き殺されたり、ゼウスの妃であるヘラに狂わされたりと散々な目にあっています。
そんなディオニュソスが真っすぐに育つわけもなく、神としての力を認めない人々を動物に変えたり、狂わせてしまったりと中々やんちゃな神様です。
親(ゼウス)の顔が見てみたい。

ゼウスのご尊顔
こうして成長したディオニュソスは、ブドウの栽培やその果実からワインを作る技術を発見しました。
こうして信者を集めながら世界を旅したディオニュソスは、人々に神としての力を見せながらその地位を確立させていきます。
神話では、その後冥界へと通じる湖へ飛び込み、母親のセメレーを救い出して神々の仲間入りを果たすことに。
ディオニュソスの秘教の内容とは?
そんなディオニュソスを崇拝する秘教とは、どのようなものだったのでしょうか。
隠された教えというだけあって、とても外部には洩らせないような内容かと思えばとんでもない。
女性が羽目を外して、酔いながら乱痴気騒ぎをするだけでした。
カッコよく言うのであれば、
「宗教的な雰囲気の恍惚状態で肉体的快楽に身を委ねる。」
…そんな企画の大人のビデオがありそうです。
古代のギリシャ人はワインを飲んで酔う事は、神の魂を宿す事と考えられていた。
その為、ディオニュソスを崇拝し酒に酔う事で霊的な力を得られると考えたようです。
元々はディオニュソスの秘教は霊的な意味合いが込められていましたが、時代と共に変化していきます。
社会の制約から解き放たれた快楽が全面に押し出され、熱狂的な信者を得る事になりました。
ディオニュソスの秘教は当時の時代背景から、様々な制約があり遊ぶ事も出来なかった既婚女性や、まともな生活を送れない貧民や奴隷から絶大な人気がありました。
集団でワインを飲みまくり!
半狂乱で踊り狂う!
獣を引き裂いて生贄に捧げちゃう!
もう、やりたい放題!!!!

ディオニュソスの秘儀の儀式
この乱痴気騒ぎの中では、階級の違いも忘れてしまう。
しかし、酔いが醒めると何事もなかったかのようにそれぞれ普通の生活へと戻っていく。
そりゃローマ政府も禁止するわ。
しかし、このディオニュソスの秘教は何も乱交パーティーだけをしていたわけではない。
悲劇の起源はディオニュソスの秘教
初期のディオニュソスの秘教で行われていた儀式は、劇場で合唱によって行われていた。
この合唱の中で、テスピスという人物が主役となり演劇が生まれ、発展していく事となる。
更に劇作家の登場で、数名の登場人物が物語を演じ、合唱が物語を盛り上げる為のバックミュージックとなる「悲劇」の形となって発展した。
ディオニュソスの秘教の宗教的な面
ブドウの神として崇められていたディオニュソスは何も羽目を外すだけの宗教ではありません。
ブドウを栽培して、そのブドウを潰し、ワインへと形を変える。
この一連の流れは、誕生、死、そして新たな形での復活。
つまり、生まれてから死ぬまでのサイクルと来世での生まれ変わりを意味します。
ディオニュソスは死後の世界への旅立ちを司る神でもあり、ディオニュソスの秘教が人の輪廻転生を信じるという本来の意味は最後まで失われずに残っています。
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