ガザ地区や米墨の地下に張り巡らされた密輸トンネル

いつの時代でも、政府の目を逃れるために「密輸」という非合法な売買や物資の取引が行われている。

その中でも信じられないほど大規模な密輸ルートを作っているのが、パレスチナ自治区のガザやアメリカとメキシコ間を繋ぐ地下の密輸トンネル。

まるで映画のようなトンネルが各国の地下に作られているのです。

目次

ガザ地区の密輸用地下トンネル

Gaza-tunnels

パレスチナのガザ地区とイスラエルの国境にある街ラファの地下には、とてつもない規模の密輸用地下トンネルが張り巡らされています。

この地下トンネルはイスラエル軍の監視下から逃れるために作られたもので、秘密のインフラとして機能しているものです。

そのトンネルの数はなんと1000本以上!

至るところに張り巡らされ地下トンネルはエジプトやイスラエルに繋がるものも。

浅いものだと、地上から約3m、深いもので20mも地下にあるトンネルの幅は大人1人がやっと通れるくらいの幅しかありません。

出入口に関してはイスラエル軍に発見されないよう、さまざまなカモフラージュがされていると言う。

ガザの地下トンネルが作られた理由

1967年に起こった第三次中東戦争によって、パレスチナ自治区はイスラエル軍の支配下に置かれることになります。

それ以降、パレスチナ人が武装してイスラエル軍と衝突することを恐れ、武器などはもちろん、さまざまな物資や人の出入りを厳しく制限してきました。

イスラエルからの経済制裁を受けたことにより、慢性的な食糧、物資の不足に陥っていたところ、パレスチナの民間企業が地下トンネルの採掘ビジネスを打ち出しました。

制限された生活を強いられていた多くのパレスチナ人がこの事業に参加し、瞬く間にトンネルが拡大していったのです。

莫大な利益を生み出した地下トンネル

地下トンネル事業に参入してきたのは企業だけでなく、パレスチナ自治区の官僚、犯罪組織など各所から資金援助があったこともあり、トンネルは次々と広がっていきました。

当初は日用品や食料などがメインで運ばれていましたが、中には車を分解してパーツとして運び、到着した先で組み立てる者も。

このトンネルを利用するための交通量や交易で莫大な利益が出たものの、武器や違法ドラッグ、密入国者の移動手段となり無法地帯となってしまった。

命の危険を知りながらも使われる地下トンネル

無数に広がった地下トンネルの存在を、イスラエルやエジプトが知らないはずもなく、2013年から2014年にかけて大規模なトンネル空爆が行われました。

新しい地下トンネルを作らせないために、イスラエルは地下採掘を感知する装置も開発しています。

度重なる空爆によって、多くのパレスチナ人がトンネルで生き埋めとなり、トンネルそのものも脆弱な作りなのでいつ崩落してもおこかしくない。

それでも輸出入を制限されているパレスチナ人にとっては、生きるためにはこのトンネルを利用して物資を運ぶしか手立てが無いのです。

地下トンネルを利用したさまざまな犯罪も国際的に問題視されているが、このトンネルが完全に封鎖されることは、パレスチナ人にとっては死刑宣告と同等の意味を持つほど重要なものになっている。

米墨密輸トンネル

米墨麻薬密輸トンネル

1982年に当時の大統領レーガンによって、カリブ海地域の麻薬討伐作成が行われたことから、コロンビア産の麻薬はメキシコを経由してアメリカに密輸されるようになりました。

そこで使われているのが、「米墨麻薬密輸トンネル」です。

地上からの密輸では捕まる可能性が高く、その取り締まりをかいくぐるために、アメリカとメキシコの地下に国境を超える密輸トンネルが張り巡らされるようになりました。

1990年から、これまでに発見されたアメリカとメキシコを繋ぐ密輸トンネルは合計で224本以上。

両国間の地下には、全長で3141㎞にも及ぶ巨大な密輸トンネルが張り巡らされているのです。

高性能な米墨麻薬密輸トンネル

地下トンネルと言えども、ここまで巨大なものになるとさまざまな機能を備えるようになってくる。

換気用のシステムはもちろん、明かりをともすための電気設備、排水路や重いものでも簡単に運べるようにカート用の軌道だけでなく、トンネルへのエレベーターまで作られています。

カモフラージュも完璧で、倉庫の中が入口になっていたり、民家のタンスの中がトンネルの入り口になっていることも。

当然アメリカ側もこのトンネルを問題視していて、対策を講じているが、トンネルを作る側も麻薬を売って得た資金で新たなトンネルを作る…といったイタチごっこが繰り返されている。

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