実は今、世界経済に大きな影響を及ぼしているのがサバクトビバッタによる作物被害。
新型コロナのパンデミックによって日本経済は大きく低迷しているが、世界各国ではウイルス以外にもこの蝗害(こうがい)に悩まされています。
大量発生してしまったサバクトビバッタはあらゆる作物を食べ尽くしながら移動していき、ウィルスではなくバッタによって人類は滅亡するのではないかと危惧されるほどの事態です。
人類を滅亡させるサクトビバッタ
サクトビバッタは体長5㎝ほどで、日本に生息しているバッタよりも一回り大きいくらいのサイズです。
西アフリカのサハラ砂漠などの砂漠地帯が、主な生息地とされています。
サバクトビバッタは非常に食欲旺盛で、ほぼ全ての植物や作物を餌として食べてしまうのが特徴です。
本来であれば、群れること無く単独行動が多いサバクトビバッタですが、環境の変化によって大量発生してしまうと群れで行動するようになり、相変異をおこします。
相変異を起こしたバッタの驚異
気温や湿度などの環境条件が整うと、バッタが大量発生して群れをなすようになります。
例年と比べて降水量が多い時期は、特に危険です。
大量発生して高密度の集団となった群れの中で世代交代を繰り返すうちに「群生相」と呼ばれる移動に適した個体へと変異していき、この変異のことを「相変異」と言います。
一言でいうのであれば、バッタの変身ですね。
胴体の色は黒く短く、羽と脚が長くなることで長距離移動に適した個体へと変化します。
相変異を起こしたバッタは、普段は餌にしない植物や作物も食べるようになり、見境なしに食らい尽くすようになるのです。
世界的に発生しているバッタの大群被害
相変異を起こし、成虫となったサバクトビバッタは1日で自分の体重と同じ2gの餌を消費します。
1匹だけならかわいいものですが、小さな群れであったとしても人間の食糧3万5千人分とほぼ同等の量を食べてしまうのです。
ラスベガスで起こった蝗害
気象レーダーに影響が出るほどのバッタの大群が、ラスベガス中心部で発生しました。
この時に発生したバッタは食物に対して無害であった為、作物に関する被害はほぼ無かった。
しかし、紫外線の明かりに引き寄せられたバッタの大群はおぞましく、虫嫌いの人からしたら発狂しそうな事態でした。
アフリカで起こった蝗害
2020年3月、新型コロナが猛威を振るう中、東アフリカのソマリアでサバクトビバッタが大量発生します。
そのまま東アフリカ全土へと広がりを見せ、ケニアでは70年に一度の危機として緊急事態宣言が出されるまでに。
被害は増大する一方で、FAO(国連食糧農業機関)は、被害地域では4200万人が飢餓に陥ると警告しています。
日本が蝗害の危機に陥ることはあるのか?
サバクトビバッタによる作物被害は、この他にも多数の報告がありインドやパキスタン、ネパールなどの南アジアでも被害が相次いでいます。
日本でも蝗害は古くから伝えられているが、バッタではなくイナゴの大群と考えられている。
環境的にも日本はバッタが大量発生する条件が整いにくく、FAOからも「サクトビバッタの生息地は東アジアまで及ばない。そのためバッタの群れが日本に直接的な影響を及ぼすことは無いと考えられる。」と、このようなコメントを残している。
しかし、今後どのような変異を起こすかもわかりません。
仮に自国での食料自給率が低い日本がこの被害に見舞われてしまっては、ひとたまりもないでしょう。
また、日本は大丈夫でも各国で食糧危機が頻発すれば、食料を巡る戦争が起こっても不思議ではない。
もしかしたら、本当にバッタが原因で戦争が起こり、人類が滅亡するシナリオもあるのかもしれません。
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