こちらは「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」に投稿された怖い話を、読みやすくして投稿しています。
怖い話「時効」
人殺しにつきあわされた話。
身バレしないように、フィクション多数。
多分、もう時効だと思う。
俺が学校卒業して就職してちょっと経ってからの話。
地元の零細企業。
まぁ、なんだかんだでいろいろあった。
人間関係は良かったと思う。
大人にもいろんなタイプの人がいるなぁと思って、すごく勉強になって楽しかった。
あの事件が起こるまでは。
きっかけは、飲み会。
そこで、Aさんがブチギレる事件があった。
酔ったBさんが、つい年上のAさんの仕事にダメ出しをした。
まぁ酔った席の話だし、Aさんも笑ってすませればそれでよかったんだろうがそうはならなかった。
Aさんは、もともとヤクザの世界にいたそうだが、スジを通すより優しさを優先するあまり、組長から「お前はこの世界には向かない、カタギになれ」と言われた人。
そんな彼にとって、スジは通さない、優しさもないBさんの言葉が許せなかったみたいだ。
Aさんの怒りはその日だけでは収まらず、Bさんを追い詰めていった。
Aさん曰く、Bさんは仕事の上で不正を働いていた。
その不正はBさんのみならず、C、D、E…とたくさんの同僚をもまきこんでいたらしい。
Aさんはその不正の証拠を掴んでいた。
そして、それを公開すると興奮してまくしたてていた。
俺は、幸か不幸かその不正には絡んでいなかったが、公開されると億単位の賠償責任が発生するのはあきらかだった。
俺は、その零細企業に恩もへったくれもなかったが、それをするとそこの不正に関係しなかった人たちも路頭に迷うと思い、Aさんを説得した。
今でも、それが正しいかどうかはわからない。
その不正は、どこの誰にも損を与えないものだったからだ。
(バレなければという前提、ここは詳しく言えない)
今思うと、俺も卑しい。
結局は自分の利益で説得をしていたのかもしれない。
結局、Aさんは落ち着きを取り戻し、その日は帰っていった。
だが、次の日の夜、事は起こった。
Bさんから電話があり、
「Aさんと和解できそうだ、中立の立場として立ち会ってくれ。」
そんな内容の電話だったと思う。
俺は時間外だったが、これも仕事と思い和解ならと、喜んで付き合うと同意した。
車で迎えに来たDさんと向かった先は、なぜか近場であるが人がこない山林だった。
異様な雰囲気、そして多くを語らないDさんがすごく不気味だった。
山林の中のひらけた場所を落ち葉を踏みながら進んででいくと、そこにはAさんと彼を取り囲む、B、C、Eさんと見たことない人が数人いた。
Aさんは、落ち葉の上に正座をして、嗚咽をあげながら泣いていた。
ヒィ…。ヒィ…。と声にならない声をあげて。
B、C、Eさんは「遺書を書け」とせまっていた。
Aさんは「書けません」と泣きながら言っていた。
そこからは、もう記憶がほとんどない。
場面も飛び飛びで鮮明に語れない。
ぼんやりとした記憶からは、Aさんは自殺をせまられていたこと、Aさんは家族を恫喝のネタにされていたこと、決して和解の席なんかじゃなかったこと。
気がつくと、俺は自分の家の前で車を降ろされていた。
そのまま、フラフラと眠りについた。
次の日、同僚からAさんが山林で自殺したと告げられた。
俺の昨夜の行動なんて言えやしない。
自分の心に蓋をして、沈痛な面持ちで通夜に参列した。
Aさんの奥さんに葬式の時に言われた、
「お手数をかけてすみませんでした…。」
この言葉が、俺の胸に今でも刺さる。
今でも俺が戸惑うのは、B、C、D、Eさんが決して、悪人ではなかったいう点だ。
普通にいい人で、よき家庭のパパなのが恐ろしくてしょうがない…。
こんな話はツレにも誰に言えない。
現在、俺は地元田舎から引っ越して都心で仕事をしているが、しょーもないイビリをやる上司を見る度に、(相手がどんなパイプもってんのかも知れないのに…こいつ、命がおしくねーのかな?)って思う。
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